Amazon USで出品が難しい食品カテゴリーとは?日本食品をアメリカで販売する前に知っておきたい注意点

「日本で普通に販売されている食品だから、アメリカのAmazonでも販売できるだろう」
そう考えてしまうのは、実は少し危険です。
Amazon USの Grocery & Gourmet Foods(食品・グルメ食品) には、日本の食品メーカーにとって比較的販売しやすい商品がある一方、商品によってはAmazonでの出品審査や、米国の食品規制への対応が難しいものもあります。
特に注意したいのが、サプリメント、乳幼児向け食品、Organic食品、健康訴求を行う食品、肉・魚介類、乳製品などです。
さらに重要なのは、
「Amazonで出品できる」ことと「米国の法律上、問題なく販売できる」ことは同じではない
という点です。
今回は、日本からアメリカへ食品を輸出する企業が特に注意したいカテゴリーについて、なぜ難しいのかを詳しく解説します。
1. Dietary Supplements(サプリメント)
難易度:★★★★★

日本企業がAmazon USに参入する際、特に注意したいのがサプリメントです。
日本では「健康食品」として販売されている商品でも、アメリカでは Dietary Supplement(ダイエタリーサプリメント) に該当する可能性があります。
例えば、
- ビタミン・ミネラル
- プロバイオティクス
- 酵素
- 青汁
- 植物・ハーブ由来成分
- 和漢素材を使用した商品
- カプセル・錠剤タイプの商品
- 健康維持や身体の機能をサポートすることを目的とした商品
などです。
サプリメントに分類されると、一般的な食品とは表示方法が異なり、通常は Nutrition FactsではなくSupplement Facts を使用します。
また、
- 使用する原材料
- Dietary Ingredientの扱い
- Serving Size
- 製造・充填施設
- cGMP
- ラベル表示
- Structure/Function Claims
- 必要なDisclaimer
- 有害事象報告への対応
など、一般食品とは異なる確認事項が増えます。
さらに、日本で「機能性表示食品」として販売していることは、そのまま米国での販売資格を意味しません。
特に注意したいのが、健康に関するClaimsです。
例えば、
「免疫力を高める」
「血糖値を下げる」
「関節痛を改善する」
「糖尿病を予防する」
といった表現は、単なる商品紹介では済まない可能性があります。
つまり、サプリメントでは、
「何を配合しているか」+「どのように表示するか」+「何を謳って販売するか」
をセットで確認する必要があります。
2. Baby Food / Infant Food(ベビーフード・乳幼児向け食品)
難易度:★★★★★

乳幼児向け食品も、一般的な食品とは分けて考えたほうがよいカテゴリーです。
理由は非常にシンプルで、対象となる消費者が乳幼児だからです。
例えば、
- 離乳食
- ベビーフード
- 乳幼児向けスナック
- 乳幼児向け飲料
- 特定年齢向けの栄養食品
などです。
大人向け食品では問題にならないような原材料や栄養面についても、乳幼児向け商品ではより慎重な確認が必要になります。
また、パッケージに
「6 months+」
「for babies」
「for infants」
など、対象年齢を明確に記載している場合、その商品がどのカテゴリーに該当するのかを慎重に確認する必要があります。
日本では「離乳食」として販売されている商品でも、米国で販売する際には、米国での対象年齢や表示方法、栄養面、安全性などを改めて確認することが重要です。
3. Infant Formula(乳児用調製乳)
難易度:★★★★★

Infant Formulaは、ベビーフードの中でも特に注意が必要なカテゴリーです。
一般的な粉末食品やプロテインパウダーとは全く同じように考えることはできません。
米国では乳児用調製乳について、栄養成分や製造、品質管理、表示などについて特別な規制があります。
そのため、
「日本で販売実績がある」
「日本の基準を満たしている」
というだけでは、米国でそのまま販売できるとは限りません。
また、Amazon USで販売する場合も、通常の食品とは別物として考えたほうが安全です。
日本企業がAmazon USで新規参入する場合、最初に取り組むカテゴリーとしては非常にハードルが高い分野と言えるでしょう。
4. Medical Foods / Special Dietary Foods
難易度:★★★★★
「特定の病気や健康状態を持つ人のための食品」といった位置づけの商品にも注意が必要です。
例えば、
- 特定の疾患を持つ人向けの商品
- 医療目的を想定した食品
- 特定の栄養管理を目的とする食品
- 特定の健康状態に対応することを目的とした食品
などです。
ここで非常に重要なのが、商品の実態だけではなく、その商品をどのように説明しているかです。
例えば、一般的な食品として開発した商品でも、Amazonの商品ページで、
「○○病の人におすすめ」
「○○の症状を改善」
「○○疾患を予防」
などの表現を使用すると、単なる一般食品として扱えなくなるリスクがあります。
したがって、米国向けの商品ページを作成するときには、日本語の商品説明をそのまま英訳しないことも重要です。
5. Organic Foods(オーガニック食品)
難易度:★★★★☆
日本でも「オーガニック」「有機」という言葉は一般的ですが、米国でOrganic表示を行う場合には USDA Organic のルールを考える必要があります。
ここでよくある誤解が、
「日本の有機JAS認証を取得しているから、アメリカでもOrganicと表示できる」
というものです。
日本の有機JASと米国のUSDA Organicは同一の制度ではありません。
米国でOrganic表示を行う場合には、商品の認証状況や表示カテゴリーなどを確認する必要があります。
さらに注意したいのが、商品パッケージだけではありません。
Amazonの商品タイトル、Bullet Points、商品説明などで「Organic」と訴求する場合にも、表示の整合性を確認する必要があります。
つまり、
Organicは単なるマーケティングワードではなく、米国では規制上の意味を持つ表示
として扱う必要があります。
6. Health / Function Claimsを使用する食品

難易度:★★★★☆
これは特定の食品カテゴリーというより、「どのような訴求をするか」によって難易度が上がるケースです。
例えば、
- 免疫をサポート
- 血糖値をサポート
- 脂肪燃焼
- コレステロールを下げる
- 関節の健康をサポート
- 疲労を改善
- 病気を予防
といった表現です。
日本では健康食品や機能性食品の商品ページなどで見かける表現でも、米国ではそのまま使用できるとは限りません。
特に重要なのは、
食品そのものの分類
と
商品について行っているClaims
を別々に確認することです。
例えば普通の食品であっても、病気の治療・予防を想起させる表現を使用すれば、規制上の問題につながる可能性があります。
そのため、Amazon USの商品ページを作るときは、
「日本語を自然な英語に翻訳する」
だけでは不十分です。
米国で使用して問題のない表現にローカライズする
という考え方が重要になります。
7. Meat / Seafood(肉・魚介類)
難易度:★★★★★

肉類や一部の魚介類は、一般的な常温加工食品よりも輸入要件が複雑になりやすいカテゴリーです。
食品だからといって、すべてがFDAだけを確認すればよいとは限りません。
商品によっては、
USDA / FSIS
など、FDAとは別の米国政府機関が関係する場合があります。
例えば、
- 肉製品
- 肉を使用した加工食品
- 肉エキスを使用した食品
- 水産加工品
- 特定の魚介類を使用した食品
などは、商品ごとに確認が必要です。
特に日本食品の場合、
「肉そのものを輸出する」
ケースと、
「調味料やレトルト食品などに肉由来原料が含まれている」
ケースでは、確認すべき内容が異なる場合があります。
そのため、
「肉が入っている/入っていない」だけで判断しない
ことが重要です。
8. Dairy / Cheese(乳製品・チーズ)
難易度:★★★★★

乳製品も注意が必要なカテゴリーです。
例えば、
- チーズ
- バター
- ミルク
- 乳飲料
- 乳製品を主原料とする食品
などです。
乳製品は、一般的な常温保存食品と比較して、衛生面や輸入要件について追加の確認が必要になる場合があります。
ただし、
「乳成分を含む食品」
と
「乳製品そのもの」
を同じように扱うのは適切ではありません。
例えば、お菓子に少量の乳成分が使用されているケースと、チーズそのものを輸出するケースでは、確認すべきポイントが大きく異なります。
したがって、原材料表示だけを見て判断するのではなく、商品の性質と米国での分類を確認することが重要です。
9. Honey / Bee Products(はちみつ・蜂関連商品)
難易度:★★★☆☆

はちみつは、一見すると非常にシンプルな食品に見えます。
しかし、米国へ輸入・販売する場合には、一般的な食品表示に加えて、原産国や輸入に関する要件などを確認する必要があります。
また、
- Honey
- Raw Honey
- Organic Honey
- Honey-based products
- Bee-derived ingredients
など、商品の性質によって確認事項が変わることがあります。
特に注意したいのは、「天然」「無添加」「オーガニック」などの言葉を組み合わせて訴求するケースです。
食品としてはシンプルでも、ラベル上のClaimsが増えるほど確認すべき事項も増えていきます。
10. Novel / Unusual Ingredients(珍しい・新規性の高い原材料)
難易度:★★★★★

日本では昔から使われている原材料でも、アメリカでは一般的ではないケースがあります。
例えば、
- 日本独自の植物素材
- 特殊な発酵素材
- 珍しいキノコ・植物由来成分
- 特殊な菌・微生物由来成分
- 新規性の高い機能性素材
などです。
このような商品で重要なのが、
「日本で長年食べられている」=「米国でも食品として自由に使用できる」ではない
という点です。
米国では、原材料によっては GRAS(Generally Recognized as Safe) に関する検討が必要になる場合があります。
また、サプリメントとして販売する場合には、食品とは別に New Dietary Ingredient(NDI) の問題が関係する可能性もあります。
日本独自の素材を米国向け商品に使用する場合は、商品開発の段階から米国での原材料の扱いを確認することが重要です。
Amazon USで特に注意したい「3つの壁」
ここまで10カテゴリーを紹介しましたが、実際に日本企業が米国進出を考える際には、問題を3つに分けて考えると分かりやすくなります。
壁① Amazonの出品審査
Amazonから、
「この商品を販売するためのApprovalが必要です」
と言われるケースです。
カテゴリー、ブランド、商品などによって販売許可が必要になる場合があります。
壁② FDAなど米国法へのCompliance
Amazonで出品できたとしても、それだけで米国の食品規制をクリアしたことにはなりません。
例えば、
- FDA Food Facility Registration
- Prior Notice
- FSVP
- Nutrition Facts
- Ingredient Statement
- Allergen Labeling
- 原材料の適法性
- Claims
などを別途確認する必要があります。
壁③ Amazonの商品ページ・広告表現
そして意外と見落とされるのがここです。
商品の中身そのものに問題がなくても、
Amazonの商品タイトル、Bullet Points、商品説明、画像、広告などで使用する表現
によって、規制上のリスクが高くなる場合があります。
特に健康・美容・疾病に関する表現は慎重に考える必要があります。
日本食品なら、すべてが難しいわけではない

ここまで読むと、
「Amazon USで食品を売るのは大変そう」
と思われるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
例えば、
- 乾麺
- そば
- うどん
- ラーメン
- だし
- 味噌
- 醤油
- 酢
- 海苔
- ふりかけ
- あんこ
- きな粉
- お菓子
- レトルト食品
などの一般的な常温保存食品は、サプリメントやInfant Formulaなどと比較すると、比較的取り組みやすいカテゴリーです。
もちろん、これらについても米国の食品表示や輸入要件への対応は必要です。
まとめ:商品を作ってから「アメリカで売れる?」では遅い

日本企業がAmazon USへの進出を考える場合、
「完成した商品をアメリカに持っていけばいい」
と考えるのではなく、
商品企画
↓
原材料
↓
米国での商品分類
↓
ラベル
↓
Claims
↓
FDA等のCompliance
↓
Amazon出品
という流れで考えることが重要です。
特に注意したいのは、
- Dietary Supplements
- Baby Food / Infant Food
- Infant Formula
- Medical / Special Dietary Foods
- Organic Foods
- Health / Function Claimsを使用する食品
- Meat / Seafood
- Dairy / Cheese
- Honey / Bee Products
- Novel / Unusual Ingredients
です。
そして、米国向けの商品開発では、
「日本で売れる商品」=「アメリカでもそのまま売れる商品」
とは限りません。
特に、サプリメントと一般食品の分類、Health Claims、Organic表示、特殊な原材料などは、後から修正しようとすると商品設計やパッケージそのものを変更しなければならないことがあります。
だからこそ、米国市場を目指すのであれば、
「商品が完成してから規制を確認する」のではなく、「商品を企画する段階から米国のルールを確認する」
ことが重要です。
Amazon USへの進出は、単にAmazonに商品を登録する作業ではありません。
「その商品を、アメリカで、どのカテゴリーに、どのような表示・表現で販売するのか」
まで考えて初めて、米国市場向けの商品設計と言えるのです。
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