OEM商品のFDA施設登録:誰が、何をすべきか?

そもそもFDA施設登録とは?
アメリカへ食品を輸出する際、食品の製造・加工・包装・保管を行う施設はアメリカの連邦政府機関であるFDA(Food and Drug Administration アメリカ食品医薬品局)への登録が必要です。
大事なのは、登録は「商品単位ではなく、施設単位の制度」だという点です。ブランド名やSKUごとに登録するのではなく、「どの工場が何をしているか」をFDAが把握するための制度として設計されています。
たとえば、同じブランドの商品でも、製造工場が複数あれば、それぞれの施設について登録が必要になります。また、主製造工場だけでなく、別の包装施設や保管拠点が関わっている場合も、それぞれ登録対象になる可能性があります。

また、登録は一度すれば終わりではなく、2年ごとの更新(biennial renewal)が必要です。この更新を忘れると、それまで問題なく輸出できていた案件でも突然手続きが止まるリスクがあります。
OEM商品の場合、誰が登録するの?
OEM取引では、製造を担う工場、ブランドを持つ事業者、輸出実務を担う商社など、複数の関係者が関わります。そのため「結局、誰が登録するの?」という疑問が生じやすいのですが、FDA制度上の答えはシンプルです。

登録義務を負うのは、実際に食品の製造・加工・包装・保管を行っている施設の責任者(owner / operator / agent in charge)です。
つまり、契約上の立場や商流上の役割ではなく、「その施設が実際に何をしているか」で判断されます。よくある誤解を3つ整理します。
❌ 誤解① 「ブランドオーナーが登録する」

自社で工場を持たないブランドオーナーは、通常は登録の主体にはなりません。FDA施設登録は販売資格のような制度ではなく、あくまで「対象施設の登録制度」だからです。
ただし、自社施設で再包装や保管を行っているブランドオーナーであれば、その施設が登録対象になる場合があります。「ブランドオーナーだから常に関係ない」とは言い切れない点に注意が必要です。
❌ 誤解② 「商社やコンサルがまとめて登録できる」
手続きの代行は可能です。FDAも、登録実務を他の個人や業者に代行させることを認めています。ただし、商社が自社名義で複数工場をまとめて「自分の施設として」一括登録することはできません。
登録の実体はあくまで各施設にあります。商社やコンサルが実務を回す場合でも、登録対象はあくまで個々の施設であり、その責任もその施設側にある、という整理は変わりません。
❌ 誤解③ 「OEMだから登録不要」
OEMかどうかは、登録の要否とは無関係です。FDAはOEM・PB・受託製造といった商流上の呼び方ではなく、「その施設が実際に食品を製造・加工・包装・保管しているかどうか」で判断します。
ただし、農場やレストラン、一定の小売施設など、制度上の例外もあります。「OEMだから不要」「工場だから必須」と短絡的に決めるのではなく、施設の実態と免除該当性を個別に確認することが重要です。
実務で押さえるべき5つのポイント
① どの施設が対象か、まず洗い出す
最初のステップは、対象商品に関わるすべての施設を把握することです。主製造工場だけでなく、包装施設・保管拠点・下請け加工先なども登録対象になりえます。
OEM案件でトラブルになりやすいのは、ブランド側が把握している「表向きの工場」と、実際に工程を担っている施設が一致していないケースです。委託先へのヒアリングだけでなく、工程の実態まで確認することが欠かせません。
② 海外施設はU.S. Agentの設定が必要
日本など海外の施設がFDA登録を行う際は、米国内にU.S. Agent(連絡窓口)を指定する必要があります。FDAとのコミュニケーションを担う重要な役割で、国内施設には不要ですが、外国施設には必須です。
③ 2年ごとの更新を管理する

更新漏れは輸入停止に直結するリスクがあります。特に継続的に輸出している案件では、「以前は問題なかったから大丈夫」という思い込みが更新忘れにつながりやすいため、定期的な確認の仕組みを作ることが重要です。
④ 登録番号はラベルに載せなくてよい

FDAは、登録番号を食品ラベルに表示する義務を課していません。むしろFDA自身が、登録番号をラベルに記載しないよう推奨しています。「登録番号をラベルへ反映しなければ」と思っている場合は、この認識を修正しておきましょう。
ただし、製造者情報・原産国表示・出荷書類との整合性は非常に重要です。ラベルに番号を載せる必要はなくても、施設情報の管理と書類の整合性確保は手を抜けないポイントです。
⑤ 委託先の登録状況を能動的に確認する
FDAの食品施設登録情報は一般公開されておらず、外部から検索することはできません。そのため、OEM先や委託工場に対しては「登録済みですか?」と聞くだけでなく、登録番号・更新時期・施設名義が実態と合っているかまで確認する運用が必要です。
未登録だとどうなる?
未登録施設の食品は、輸入港で留め置き(hold)となり、登録が確認されるまで輸入者へ引き渡されません。「輸入拒否」という表現で語られることもありますが、正確には「登録が確認されるまで引き渡しが停止される」という状態です。

同じブランドの商品であっても、製造工場が複数ある場合は、施設ごとに確認が必要です。さらに、主製造工場だけでなく、別の包装所、保管拠点、下請け加工先などが関与している場合、それぞれが登録対象となる可能性があります。
OEM案件でトラブルになりやすいのは、ブランド側が把握している“表向きの工場”と、実際に工程を担っている施設が一致していないケースです。
まとめ
OEM商品のFDA施設登録で迷ったときは、「誰が登録するか」という視点より、「どの施設が食品を扱っているか」という視点で整理することが重要です。
OEMは関係者が多く、責任の所在が曖昧になりがちですが、実務で確認すべきポイントは明確です。
- 対象施設をすべて洗い出す
- 海外施設はU.S. Agentを設定する
- 2年ごとの更新を管理する
- 委託先の登録状況を番号レベルで確認する
- 施設情報と輸出書類の整合性を保つ
この5点を押さえることで、通関トラブルや継続輸出上のリスクを大きく減らすことができます。
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