「FDA認証を取りたい」は誤解です——食品メーカーが知っておくべきFDAの本当のルール

食品メーカー様からよく寄せられるご質問を入り口に、FDAの実際の役割と、米国輸出に向けてメーカーが本当に対応すべき事項を解説します。

「うちの商品がFDA認証を受けるには、どうすればいいですか?」
FDA規制コンサルティングをしていると、食品メーカー様からこのご質問を非常によくいただきます。しかし、これは根本的な誤解です。FDAは個別の「食品」そのものに対して、販売前の「認証(Approval)」や「許可」を与えることはありません。
今回は、FDAの公式サイトの情報に基づき、食品メーカーが知っておくべき正しいルールを解説します。
1. FDAは食品を「個別認可」しない
FDAの公式サイト(”Is It Really FDA Approved?”)では、明確にこう述べられています。
“FDA does not approve food products before they are marketed.”
(FDAは、食品が市場に出る前に製品を承認することはありません)
医薬品や医療機器の一部とは異なり、一般的な食品(飲料、菓子、加工食品など)は、販売前にFDAから「お墨付き(認証)」をもらうというステップ自体が存在しないのです。つまり、「このお菓子はFDA認証済みです」「この飲料はFDA承認商品です」といった言い方は、一般的な食品では正確ではありません。
2. 「FDA認証済み」という表示はNG?

商品パッケージやウェブサイトで「FDA認定」「FDA認証済み」というロゴを見かけることがありますが、これは注意が必要です。
FDAは、民間企業がFDAのロゴを使用することを認めておらず、あたかも政府がその製品の品質を保証したかのような表現は、逆に「不当表示」とみなされるリスクがあります。
3. メーカーがすべきなのは「認証」ではなく「登録」と「遵守」
では、米国に食品を輸出するために何もしなくてよいのかというと、そうではありません。メーカーには以下の義務があります。
- 施設登録(Facility Registration): 食品を製造・加工・梱包・保管する施設をFDAに登録する必要があります。これは「製品」ではなく「工場・倉庫」に対する登録です。
- 安全基準の遵守(Compliance): 「許可」は不要ですが、その代わりに「すべての責任はメーカーにある」というスタンスです。成分、添加物、衛生管理(PCQIの選任やFSVPの対応)、ラベル表示などがFDAの規則に適合していなければなりません。
- 事後規制: 市場に出た後、もし健康被害やラベルの不備が見つかれば、FDAは強制的な回収(リコール)や輸入停止措置を行います。
4. 食品ラベルも、FDAが事前にチェックして承認するわけではない
もうひとつ多い誤解が、食品ラベルに関するものです。
「この表示内容でFDAに申請して、OKをもらうのですか?」と聞かれることがありますが、FDAは食品ラベルを販売前に個別承認していません。 一方で、Nutrition Factsを含む表示要件や、虚偽・誤認を招く表示の禁止など、守るべきルールは細かく定められています。つまり、必要なのは“ラベル承認”ではなく、法令に適合したラベル設計です。
5. ただし、何もかもFDAがノータッチという意味ではありません
ここで注意したいのは、食品そのものは承認されなくても、食品に使う一部の成分はFDAの審査対象になるという点です。FDAは、食品添加物や食品接触材から食品へ移行する一部物質、そして着色料については、例外を除いて使用前承認が必要だと説明しています。代表的な例外としてGRASの考え方がありますが、すべての原料が自由に使えるわけではありません。
6. まとめ:正しいステップで米国進出を

「FDAの認証(パス)をもらう」という考え方ではなく、「FDAの定めた厳格なルール(施設登録や安全基準)に自社が適合している状態を作る」ことが、米国輸出への正しい道筋です。
食品は原則としてFDAの個別事前承認を受けるものではありません。
その代わりに、施設登録、表示、成分、輸入手続き、製造管理など、守るべき実務要件が存在します。これを正しく押さえることが、米国販売への最短ルートです。
「自社の成分は米国で認められているか?」「ラベルの書き方は正しいか?」といった具体的な確認が必要な場合は、認証を待つのではなく、専門家によるコンプライアンス・チェックを行うことをお勧めします。
施設登録、Nutrition Facts作成、表示チェック、原料確認など、実務ベースで整理したい企業様はお気軽にご相談ください(^ ^)/
参考(FDA公式サイト): Is It Really FDA Approved?

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