日本では人気の成分でも、アメリカでは販売できない?食品・化粧品の米国輸出で注意したい成分とFDA規制

日本では当たり前に使われている食品や化粧品の成分。

「天然由来だから安心」

「日本で長年売れているから大丈夫」

「国内で認可されている成分だから問題ない」

米国への輸出を考えるとき、こんなふうに思っていませんか?

実は、日本で問題なく販売されている商品でも、アメリカでは成分によって販売が制限されたり、医薬品として扱われたりすることがあります。

この記事では、食品・化粧品それぞれについて、米国輸出で特に注意したい成分と、輸出前に確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 日本でOKの商品が、アメリカで問題になる理由
  • 化粧品で注意したい成分(ハイドロキノン、日焼け止め成分など)
  • 食品で注意したい成分(紅麹、NMN、CBDなど)
  • 見落としやすい添加物・着色料
  • 輸出前に整理しておきたい6つの情報

本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。米国の規制は改正されることがあるため、最新情報はFDA(米国食品医薬品局)の公式サイトなどでご確認ください。

目次

なぜ「日本でOK」が「アメリカでNG」になるの?

理由はシンプルです。日本とアメリカでは、食品や化粧品のルールの仕組みが違うからです。

たとえば、こんなことが起こります。

  • 食品:日本で食品として売れる原料でも、アメリカでは「食品に使ってよい」という法的根拠が別に必要になる場合があります。法的根拠とは、たとえば食品添加物としての承認や、GRAS(一般に安全と認められる物質)であることなどです。
  • 化粧品:日本で化粧品や薬用化粧品として売っている商品が、アメリカでは効能や成分によって医薬品として扱われることがあります。

補足:GRASのルールも見直しの動きあり
米国では現在、企業がFDAに届け出ずに自社でGRASと判断する「自己認証GRAS」の仕組みを見直す動きがあります。今後のルール変更にも注意が必要です。

押さえておきたい3つの視点

視点チェックすること
① 成分そのものアメリカで使用が禁止・制限されている成分ではないか
② 商品の分類食品・サプリメント・化粧品・医薬品のどれにあたるか
③ 表示・広告「シミを改善する」「血糖値を下げる」などの表現が、医薬品的な効能にあたらないか

つまり、成分だけでなく「どんな商品に、どれだけ配合し、どう売るか」によって判断が変わるのです。

化粧品で注意したい成分

まずは、日本では人気の美容成分でも、アメリカでは慎重な確認が必要なものを見ていきましょう。

成分注意ポイント
ヒト幹細胞培養上清・ヒト由来培養液ヒト由来原料の安全性、製造工程、医薬品・生物製剤にあたるかどうか
エクソソームFDAが未承認のエクソソーム製品に注意喚起や警告を行った事例あり(主に治療目的の製品が対象。化粧品も効能表現によっては規制対象となる可能性)
ハイドロキノンFDAは、配合した市販(OTC)美白製品は承認なしには販売できないとの立場。市販品としての販売は事実上困難
トレチノイン米国では医薬品成分として扱われる
ミノキシジル発毛目的の製品は医薬品。販売には製品ごとのFDA承認が必要
CBD・大麻由来成分原料の種類、THC含有量、州法、販売先のポリシー。連邦法上の「ヘンプ」の定義変更にも注意
紫外線吸収剤日焼け止めはOTC医薬品の扱い。使える有効成分が限られる
一部の染毛成分・着色料FDAが定める色素の認可条件や、使ってよい部位の制限

ここからは、特に質問の多い成分をピックアップして解説します。

「ヒト幹細胞由来成分」はそのまま輸出できる?

日本では、ヒト幹細胞培養液などを配合した高価格帯のスキンケア商品が多く販売されています。

しかし、「日本で化粧品として売っているから、そのまま輸出できる」とは判断できません。

確認が必要なのは、次のような点です。

  • ヒト由来成分の実態と安全性
  • 製造工程
  • どのような効能をうたっているか

特に「細胞を再生する」「組織を修復する」といった表現は要注意です。化粧品ではなく、医薬品・生物製剤としての規制につながる可能性があります。

ヒト由来原料を配合しているという理由だけで、すべての商品が一律に禁止されるわけではありません。商品ごとの個別の確認が必要です。

「日焼け止め」は化粧品ではなく医薬品

意外と知られていませんが、アメリカでは日焼け止めは化粧品ではなく「OTC医薬品」(処方箋なしで買える医薬品)として扱われます。

そのため、使える紫外線吸収剤などの有効成分は、FDAが定めるOTC医薬品の基準に記載されたものに限られます。

2026年の新しい動き
日本の日焼け止めにもよく使われているベモトリジノール(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)が、20年以上ぶりの新しい有効成分として認められました。ただし、配合上限や剤形などに条件があります。

一方で、日本や欧州で一般的な他の紫外線吸収剤には、米国ではまだ使えないものも多くあります。配合成分を一つずつ確認することが大切です。

「天然由来」「発酵由来」なら安心?

日本酒酵母、酒粕エキス、植物発酵エキスなども、日本の化粧品で人気の原料です。

これらが米国で一律に禁止されているわけではありません。ただし、次の点は確認が必要です。

  • 原料の正確な名称
  • 製造方法
  • 安全性

「天然由来」「日本古来の原料」という説明だけでは、米国での安全性や適法性を証明したことにはなりません。

食品で注意したい成分

食品も同じです。日本で健康食品や機能性表示食品に使われていても、アメリカでは使用に制限がある成分や、通常の食品とサプリメントで扱いが違う成分があります。

成分注意ポイント
CBDFDAは通常食品への添加を認めていない。さらに「ヘンプ」の定義変更で、THC含有量の規制が厳しくなる予定
紅麹(Red Yeast Rice)モナコリンKの含有量や製造方法によって、医薬品規制が問題になる
クラトム(Kratom)FDAが食品・サプリメントとしての販売に重大な問題を指摘し、輸入警告の対象にしている
NMN2025年にFDAが見解を変更し、サプリメントへの使用は適法と判断。ただし通常食品への使用や、新規の食品成分としての届出の要否は別途確認が必要
センナ下剤としての使用目的や、医薬品にあたるかどうか
ヨヒンベ・ヨヒンビン安全性、薬理作用、食品としての使用根拠
高濃度緑茶カテキン(EGCG)濃縮抽出物の安全性、摂取量、肝臓への影響
動物由来プラセンタ原料の由来、食品としての適法性、動物由来原料の輸入規制

「紅麹」は名前が同じでも中身次第

紅麹は、日本では発酵食品や着色などに使われてきた原料です。

アメリカで問題になりうるのは、紅麹に含まれるモナコリンKという成分です。

  • モナコリンKは、コレステロール低下薬の有効成分「ロバスタチン」と同じ化学物質です。
  • FDAは、ロバスタチンを添加または増強した一部の紅麹製品について、サプリメントとして販売できないと判断しています。

ただし、伝統的な紅麹食品がすべて禁止されているわけではありません。

同じ「紅麹」という名前でも、含まれる成分や製造方法によって判断が変わります。

「NMN」はFDAの見解が変わった成分

NMNは、ここ数年でFDAの見解が大きく変わった成分です。

時期FDAの見解
2022年「NMNはサプリメントとして販売できない」との立場
2025年9月判断を見直し、サプリメントへの使用は適法と判断

ただし、注意点もあります。

  • サプリメントとして売れることと、通常の食品(飲料や菓子など)に配合できることは別の問題です。
  • 製品によっては、新規の食品成分としてFDAへの届出が必要になる可能性もあります。

「以前はダメだった」「今は大丈夫」という情報だけで判断せず、販売形態ごとに確認しましょう。

「CBD」はFDAと連邦法の両方をチェック

CBDについて、FDAは通常食品への添加や、サプリメントとしての販売を認めていません。

さらに、2025年11月に成立した連邦法で「ヘンプ(産業用大麻)」の定義が変わりました。主な変更点は次の2つです。

  1. THCの量を、THCAなども含めた「総THC」で判定する
  2. 最終製品について、1容器あたりの総THC量に上限(0.4mg)を設ける

施行時期にも注意
この変更は2026年11月に施行される予定でしたが、2026年9月の法改正で、天然由来の製品については2026年12月11日まで延期されました。今後さらに延期・変更される可能性もあります。

CBD関連製品を検討する場合は、FDAの規制に加えて、連邦法・州法の最新動向を必ず確認しましょう。

「日本で食べられてきた原料」でも確認は必要

菊芋、桑の葉、サラシア、フコイダンなど、日本の健康食品でおなじみの原料も、米国向けには個別の確認が必要です。

加工方法で評価が変わる例
菊芋を乾燥・粉砕した「粉末」と、特定の成分を高濃度に抽出した「エキス」では、同じ原料名でも規制上の評価が異なることがあります。

動物由来原料は「どの動物か」も重要
プラセンタのような動物由来原料では、由来する動物によってルールが変わります。

  • 牛などの反芻動物に由来する原料:BSE(牛海綿状脳症)対策としての使用制限があります。
  • 豚由来の原料など:米国農務省(USDA)の輸入規制の対象になる場合があります。

日本で長い食経験があるというだけで、あらゆる加工方法・使用量が米国で認められるわけではありません。

見落としがちな「食品添加物・着色料」

食品の輸出では、主原料だけでなく、少しだけ入っている添加物や着色料にも注意が必要です。

添加物・着色料注意ポイント
クチナシ色素クチナシ青色素は2025年にFDAが承認。ただし使える食品は飲料や菓子などに限られる。それ以外のクチナシ色素は、米国で使える法的根拠を確認
ベニコウジ色素米国で着色料として使える法的根拠を確認
バタフライピー色素FDAが認めた食品カテゴリーなどの条件を確認
赤色3号FDAが食品への使用認可を取り消し済み。食品の切替期限は2027年1月15日(FDAは期限前の切り替えを推奨)
ステビア高純度ステビオール配糖体と、ステビア葉・粗抽出物とでは扱いが異なる

アメリカでは、天然由来の色素であっても、食品に使うにはFDAの認可が必要です。

日本で認可されている添加物が、アメリカでも同じ条件で使えるとは限りません。

特に、菓子類、飲料、健康食品、加工食品などを輸出する場合は、原材料一覧の添加物までしっかり確認しましょう。

Amazon USで売るなら、さらに注意

アメリカのAmazonで販売する場合は、FDAの規制に加えて、Amazon独自の出品ポリシーにも対応する必要があります。

FDAの規制上は販売できる可能性がある商品でも、次のようなことが起こり得ます。

  • 審査で追加書類を求められる
  • 出品が制限される

Amazon USでの販売を予定している場合は、商品ページを作る前に、成分・商品分類・表示・広告表現を確認しておくことをおすすめします。

輸出前に整理しておきたい6つの情報

米国輸出を検討するときは、次の情報を事前にまとめておくと、規制調査がスムーズに進みます。

  • ① 正確な成分・原材料一覧
    日本語名だけでなく、できれば英語名や規格書も準備する
  • ② 原料の由来と製造方法
    植物由来、動物由来、発酵由来、抽出物など
  • ③ 配合量・使用量
    食品なら1食・1日あたりの摂取量、化粧品なら配合濃度
  • ④ 商品の用途とカテゴリー
    一般食品、サプリメント、化粧品、日焼け止めなど
  • ⑤ 米国で予定している効能表現
    パッケージ、商品ページ、広告で何を訴求するか
  • ⑥ FDAへの登録・届出の状況
    食品は食品施設登録や輸入時の事前通知(Prior Notice)、化粧品はMoCRA(化粧品規制近代化法)に基づく施設登録・製品リスト登録など、成分とは別に必要な手続き

これらを整理しておくことで、輸出前に問題点を把握し、必要な対応を検討しやすくなります。

まとめ:売れている商品だからこそ、輸出前に確認を

日本には、品質が高く魅力的な食品や化粧品がたくさんあります。

ただし、日本で長年売れている商品や人気成分を使った商品でも、米国でそのまま販売できるとは限りません。

とはいえ、注意が必要な成分が入っているからといって、輸出を諦める必要があるとは限りません。NMNやベモトリジノールのように、米国での扱いが見直される成分もあります。

成分の種類、配合量、使用目的、表示方法などを確認し、必要に応じて処方や販売方法を見直すことで、米国販売の道が開ける場合もあります。

いちばん大切なこと
商品を製造・出荷してから問題に気づくのではなく、輸出準備の早い段階で、最新の米国規制を確認することです。

米国向け食品・化粧品の成分調査はEverBrightへ

EverBrightでは、米国への食品・化粧品輸出を検討されている事業者様に向けて、FDA関連規制や原材料の調査、米国向け商品ラベルの作成・確認、Amazon USでの販売準備などをサポートしています。

「この成分はアメリカで使用できる?」

「日本で販売している商品を、そのままアメリカに輸出できる?」

「輸出前にどんな手続きが必要?」

このような疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。

米国輸出の第一歩を、規制の確認からサポートいたします。


※本記事は米国の食品・化粧品規制に関する一般的な情報提供を目的としています。各成分の使用可否は、原料の規格、製造方法、使用量、製品区分、表示内容および最新の法令等によって異なります。個別商品の輸出・販売可否については、製品情報に基づく確認が必要です。

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