【缶詰やレトルト食品のアメリカ輸出は要注意!】低酸性食品(LACF)とは?アメリカ輸出で必要なFDA登録・FCE・SIDをわかりやすく解説

ツナ缶、コーン缶、豆の水煮、レトルトカレー、スープのパウチ商品。
こうした食品をアメリカに輸出するとき、普通の食品と同じ手続きだけでは足りないことがあります。

その理由は、商品によっては 「低酸性食品(LACF)」 や 「酸性化食品(AF)」 という特別なカテゴリーに入るからです。
このカテゴリーに当てはまると、通常のFDA施設登録に加えて、工場の登録や商品ごとの製造方法の届出が必要になることがあります。
「低酸性食品って何?」
「うちの商品も関係あるの?」
「何を準備すればいいの?」
この記事では、そうした疑問を、できるだけわかりやすく説明します。
低酸性食品(LACF)とは?まずはざっくり理解しよう
低酸性食品とは、簡単にいうと、
酸があまり強くなく、水分が多く、缶やパウチなどでしっかり密封された常温保存食品
のことです。

FDAでは、低酸性食品の目安として、次の2つを示しています。
- 最終平衡pHが4.6より高い
- 水分活性(aw)が0.85より高い
さらに実務上は、缶・瓶・パウチなどの密封容器に入っていて、常温で流通する食品かどうかが大切です。

数値だけ見ると難しく感じますが、まずは、
「水っぽさがあって、酸っぱくなくて、常温保存の密封食品は注意が必要」
くらいの理解で大丈夫です。
どんな商品が低酸性食品(LACF)になりやすい?
次のような商品は、低酸性食品に当てはまる可能性があります。

- コーンや豆などの水煮缶
- ツナ缶やサバ缶などの魚介缶詰
- 一部のレトルト食品
- スープやだし入りのパウチ食品
- 一部のペットフード
ただし、ここで大事なのは、
「缶やパウチに入っている=必ず低酸性食品」ではない
ということです。
たとえば、次のような商品は対象外になることがあります。
- 冷蔵品
- 冷凍品
- 水分が少ない商品
- 密封容器ではない商品
- 常温流通しない商品
つまり、見た目だけでは判断できないことが多いため、実際にはpHやaw、保存条件、容器形態を確認する必要があります。
酸性化食品(AF)との違い|「pHが低い=全部AF」ではない
ここは特に間違えやすいポイントです。
pHが4.6以下なら、全部が酸性化食品(AF)になるわけではありません。
酸性化食品とは、
もともとは低酸性の食品に、酢などの酸や酸性食品を加えて、pHを4.6以下にした食品
のことです。

たとえば、野菜や豆などに酢を加えて酸っぱくした商品は、酸性化食品に該当する可能性があります。
一方で、もともと自然に酸性が強い食品は、酸性化食品ではない場合があります。
FDAの考え方では、最初から自然にpHが低い食品は、LACF/AFの対象外になることがあります。

まずは、次のように整理するとわかりやすいです。
- もともと酸が弱い食品 → LACFの可能性あり
- もともと酸が弱い食品に酸を加えた → AFの可能性あり
- もともと自然に酸が強い食品 → LACF/AFではない場合あり
なぜ低酸性食品はアメリカ輸出で厳しく見られるの?
低酸性食品は、危険な菌が増えないように、しっかり管理しなければならない食品だからです。

FDAは、こうした食品には一般の食品とは違う特別なリスクがあるとして、専用のルールを設けています。
つまり、アメリカ向けに輸出するときは、
- 工場が適切に登録されているか
- どういう条件で加熱・殺菌しているか
- その製造方法がきちんと整理されているか
といった点まで確認される可能性がある、ということです。
普通のFDA施設登録だけでは足りないことがある
アメリカに食品を輸出する場合、まず必要になるのがFDA施設登録(Food Facility Registration)です。
これは、多くの食品輸出で必要になる基本的な登録です。

ただし、低酸性食品や酸性化食品に当てはまる場合は、これだけで終わりません。
追加で確認したいのが、FCE登録とプロセスファイリングです。
FCE登録とは?工場についての追加登録
FCE登録は、簡単にいうと、
「この工場はLACFやAFを作っています」とFDAに登録する手続き
です。
ここで大事なのは、登録するのは輸出者ではなく、実際に作っている工場だという点です。
つまり、自社工場で作っているならその工場、OEM先に作ってもらっているならOEM先の工場が関係してきます。
SIDとは?商品ごとの製造方法の届出
FCE登録だけではなく、商品ごとに
「どういう条件で作っているか」
をFDAに届ける必要がある場合があります。これが、一般にSIDと呼ばれるものに関わる部分です。
ここで注意したいのは、単純に「1商品に1つ」とは限らないことです。
FDAは、商品名だけでなく、
- 商品の種類
- 容器サイズ
- 容器のタイプ
- 製造方法
などの違いも見ます。
そのため、同じシリーズ商品でも、容器サイズや製造条件が変わると別対応になることがあります。
OEM製造のときに特に気をつけたいこと
日本企業の実務で特に大事なのがここです。
もしOEM先に製造をお願いしているなら、輸出を進める前に、
その工場がLACF/AF対応に協力できるか
を確認しておく必要があります。
たとえば、次の点は早めに見ておきたいところです。
- FCE登録に対応できるか
- 商品ごとの製造情報を出せるか
- 必要資料を社外に共有できるか
- 規制対応に前向きか
輸出者、商社、輸入者が自分でFCE登録をするわけではありませんが、相手工場がちゃんと対応しているかを確認する責任があります。
そのため、商品完成後ではなく、企画段階で工場とのすり合わせを始めるのがおすすめです。
製造条件は自分たちで適当に決めてはいけない
低酸性食品や酸性化食品では、
「この温度で、この時間加熱すれば大丈夫だろう」
という感覚だけで進めるのは危険です。

FDA文書では、酸性化食品の製造条件は、必要な知識と経験を持つ専門家(process authority)が設定すべきとされています。また、FDAの査察でも、process authorityの評価や関与が重視されています。
「この分野は必ず専門家の確認が前提」と考えておきましょう。
アメリカ輸入時にも注意|Prior NoticeとFCE・SIDの整合
アメリカに食品を送るときは、Prior Notice(事前通知)が必要です。
これは、FDAに「この食品がアメリカに入ります」と事前に知らせる手続きです。
さらに、低酸性食品や酸性化食品では、輸入申告時にFCE番号やSID番号などの情報がきちんとそろっているかも大切です。
FDA資料では、FCEとSIDは輸入申告時のAffirmation of Compliance(AoC)コードとして扱われています。
もし番号の不一致や登録漏れがあると、
- 審査で止まる
- 追加確認が入る
- 輸入がスムーズに進まない
- 拒否やDWPEにつながる
といったリスクがあります。
ラベルも忘れず確認しよう
低酸性食品では、登録や製造条件だけでなく、ラベル表示も重要です。

通常の食品と同じように、主に次の点を確認します。
- Nutrition Facts
- 原材料表示
- アレルゲン表示
- 内容量表示
FDAのFood Labeling Guideでは、内容量表示について、アメリカ式の単位とメートル法の単位の両方を表示する考え方が整理されています。液体は液量、固体や半固体は重量で表示するのが基本です。

なお、賞味期限表示は、一般食品では一律の連邦義務ではありません。
FDA資料でも、品質ベースの日付表示が連邦法上義務になっている例外は乳児用調製粉乳とされています。
また、ロット管理は実務上とても大切ですが、FDAの考え方では、そのコードを必ず消費者向けラベルに印字しなければならないとは限りません。
低酸性食品をアメリカに輸出するときの流れ
まずは、次の順番で考えるとわかりやすいです。
- 商品のpHとawを確認する
- その商品がLACF・AF・対象外のどれに近いか判断する
- 製造工場がFCE登録に対応できるか確認する
- 必要なら専門家評価とプロセスファイリングを進める
- FDA施設登録、ラベル、輸入申告情報を整える
- 出荷前に、工場・輸出者・輸入者の情報にズレがないか確認する
まとめ|「商品」より先に「工場対応」を確認
低酸性食品や酸性化食品の輸出は、普通の食品輸出よりハードルが高めです。
特にポイントになるのは、工場の協力が必要になることです。

そのため、「この商品は売れそうか」だけでなく、「この工場はFDA対応できるか」も早めに確認することがとても大切です。
低酸性食品かどうかの見極め、FDA施設登録、Nutrition Facts作成、アメリカ向け食品表示の確認などで迷ったら、早めに専門家に相談しながら進めると安心です。
EverBrightでは御社の商品が低酸性食品に当たる可能性があるか一次判断をし、必要があれば専門機関への橋渡しをいたします。
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